公開日: |更新日:
インプラント周囲炎とは、その名の通りインプラントの周りの組織が炎症を起こす病気です。簡単に言えば「インプラント版の歯周病」ですが、天然の歯よりも進行が早く、重症化しやすい特徴を持っています。せっかく入れたインプラントを長く使い続けるために、正しい知識を身につけましょう。
天然の歯には、歯と骨の間に歯根膜(しこんまく)というクッションのような組織があり、これが細菌の侵入を防ぐバリアの役割や、痛みを伝えるセンサーの役割を果たしています。
しかし、インプラントには歯根膜がありません。一度細菌が入り込むと、歯周病(天然歯)のおよそ10倍以上の速さで炎症が進行してしまいます。神経がないぶん痛みも感じにくく、自覚症状がないまま重症化してしまうケースが少なくありません。
インプラント周囲粘膜炎は、炎症が歯茎(粘膜)だけにとどまっている状態です。この段階であれば、丁寧なクリーニングとプラークコントロールで、健康な状態に戻すことが可能です。
一方、インプラント周囲炎は、炎症が歯茎を超えて、インプラントを支えている顎の骨まで達した状態を指します。一度溶けてしまった骨は、自然には元に戻りません。つまり、骨が吸収される前の「粘膜炎」の段階で食い止めることが何よりも重要なのです。
インプラントは人工物なので虫歯にはなりませんが、それを支える周囲の組織は生身の体です。なぜ炎症が起きてしまうのか、主な3つの原因を見ていきましょう。
最大の原因は、磨き残しによるプラーク(歯垢)です。インプラントの周りにプラークが溜まると、その中の細菌が毒素を出し、歯茎や骨を攻撃します。
特にインプラント周囲は、上部構造(被せ物)の形状や歯茎との境目、隣在歯との関係などによって清掃が難しくなることがあり、天然歯に比べて汚れが溜まりやすいケースも少なくありません。そのため、より入念なケアが求められます。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯茎の血流を悪くします。これにより、細菌と戦う免疫力が低下し、炎症が起きても治りにくくなるのです。喫煙者は非喫煙者に比べ、インプラント周囲炎の発症率が2~3倍高まると言われています。
細菌だけでなく「力」も原因になります。噛む力が過度にかかると、インプラントと歯茎の結合が破壊され、そこから細菌が侵入しやすくなるためです。
また、インプラントには天然歯のようなクッション(歯根膜)がありません。そのため、歯ぎしりなどで強く揺さぶられると、その衝撃が直接骨に伝わり、杭の周りの土が崩れるように、支えている骨が溶かされてしまうことがあります。
インプラントには神経がありません。そのため、天然歯の虫歯や歯周病のように「ズキズキ痛む」という症状が出た時には、すでに手遅れに近い状態まで進行していることが多いのです。
痛みの有無で判断せず、チェックリストにひとつでも当てはまる場合はインプラント治療を受けた歯科医院に相談しましょう。
健康な歯茎はピンク色で引き締まっていますが、炎症が起きると赤く腫れ、丸みを帯びてきます。特に注意すべきは「出血」です。健康であれば、通常の歯磨きで血が出ることはほとんどありません。
もし血が出るなら、痛みがなくても内部で細菌が繁殖している可能性が高いです。「少し血が出ただけ」と放置せず、インプラント周囲炎の初期サインとして警戒してください。
インプラントは骨と結合しているため、本来はビクともしません。もし指や舌で触れてグラつきを感じる場合、支えとなる骨がすでに大きく溶けてしまっている深刻な状態が疑われます。
グラつきが気になった場合、無理に揺らすとさらに悪化するため、それ以上触らずに歯科医院を即受診してください。
進行度合いに応じた一般的な治療方法の例を紹介します(※実際の治療は、進行度・全身状態・医院の方針により異なります)。
炎症が初期段階であれば、専用の器具を使ってインプラント表面の汚染物質を徹底的に除去します。あわせて抗菌薬(抗生物質)を投与し、細菌の活動を抑え込むことで、炎症の鎮静化を図ることもあります。
骨の吸収が進んでいる場合は、外科手術が必要です。歯茎を切開して汚染された部分を直接除去したり、特殊な材料を使って溶けた骨を再生させる骨造成(こつぞうせい)を行ったりします。
身体的・経済的負担も大きくなるため、軽度のうちに歯科医院で処置してもらいましょう。
治療を行っても改善が見込めない、あるいは骨の破壊が著しい場合は、一度インプラントを撤去する可能性が高いでしょう。骨が回復してから再手術できる場合もありますが、状況によっては再治療が難しいこともあります。
インプラント周囲の歯茎は天然歯よりもプラーク(細菌)が溜まりやすく、かつ炎症が起きやすいため、自分だけの力で守り切るのは難しいものです。
どんなに毎日の歯磨きを頑張っている人でも、セルフケアだけでは落としきれない汚れがあり、インプラント周囲炎になる可能性があります。
だからこそ、異常がなくても歯科医院の定期検診を受けることが大切です。歯科医師がインプラントの状態を細かくチェックし、専用の器具で汚れを徹底的に除去してくれるため、インプラント周囲炎を未然に防げるでしょう。
DENTISTS



※姫路市内のインプラント対応歯科を調査し、公式HPでインプラントメーカーを明記、麻酔に関して静脈内鎮静法をとっている歯科のみを紹介しています。(2020年12月1日時点)
※治療費用はインプラント1本分の価格を公式HPから算出したものとなります。
※インプラント治療の費用・期間について
インプラント治療の平均的な費用は1本当たり30~40万円ほど、治療にかかる期間は平均で7ヶ月~13ヶ月とされています。費用・期間とも、個人の健康状態や、クリニックの体制によって異なるので、詳しい情報はクリニックに直接お問い合わせください。
※副作用について
インプラント治療のリスクとして、インプラント周囲炎や、金属アレルギーが発症することなどが考えられます。 また、持病などの状態によっては、治療を受けることによって合併症を惹き起こす可能性もあります。不安や懸念点がある方、詳しく知りたい方はクリニックへご相談ください。
※インプラント治療について
治療内容や治療に使う医薬品・医療機器は医院・クリニックによって異なります。各院・クリニックのインプラント治療で採用している医薬品・医療機器の中には、厚生労働省未承認のものを使用している場合があります。費用相場・治療期間・回数、リスクや副作用なども治療内容によって異なります。保険適用の有無をはじめ入手経路、諸外国における安全性、同一性能を有する国内の承認医薬品等の有無、副作用・リスクなど、詳しくは各院・クリニックに直接お問い合わせください。
参考:インプラントネット(https://www.implant.ac/cost/#link01-1)、ストローマンインプラント公式(https://straumannpartners.jp/medical/implant/flow/)